3月8日旧暦2月2日は龍台頭/龍抬頭(りゅうたいとう)!起源や開運のためにするべきことと禁忌!

2019年2月14日

2019年3月8日、旧暦2月2日は「龍抬頭/龍台頭(りゅうたいとう)」中国語読みなら「ロンタイトウ」と言って中国では伝統的な祭日。「龍が頭をもたげる」という意味のこの日は、春の訪れを祝い、今年の収穫を祈る日でもあります。

各地で龍のモチーフを使った行事が行われ、龍の名前が付いた料理を食べるこの日「龍台頭」はいつからあるのか、どんな行事が行われ、何を食べるのか、また、この日にやってはいけないことなど、起源や習慣などをご紹介したいと思います。

「龍台頭」の起源

「龍台頭」は春耕節、農事節、春龍節とも呼ばれ、その起源は伏羲の時代にあると言われています。伏羲と言えば伝説の三皇五帝時代、つまり夏王朝以前の神話の時代の君主。悠久の歴史があることがお分かり頂けるでしょう。

神話の時代、2月2日は長い冬を終えて新年を迎えた後、新たに農作業や養蚕を開始する日でした。伝説の名君・伏羲は毎年2月2日、百官を率いて自ら畑を耕す習慣だったとのこと。周の武王の時代には盛大な儀式を執り行う日となり、当初はその年の豊作を祈って君主が行う、国家的な行事だったわけです。特に華北においては旧暦2月初旬は乾期から雨期に変わる時期であるため、収穫への期待と結びついて根強く残っていたと思われます。

「龍台頭」の名前が典籍に見られるようになるのは元代の頃で、当時の都・大都(現在の北京)について書かれた『析津志』(析津は大都の別名)の中で大都の風俗について触れた部分で「2月2日は龍台頭である」と書かれています。

農耕の祭日に、なぜ龍の名前が付いたのか。それは龍が水を司るものとして神格化されていることに関係があります。農業にとって降水量の多少は重要な要素、日照りが続けば作物は育たず、逆に洪水で収穫前の作物がダメになることもあります。ですから、降水や天候を左右する存在と考えられた龍は非常に重要な存在でした。

伝統的な中国の考えでは旧暦正月は龍台頭を迎えて初めて終わるとされていて、この日は青龍が天に昇る日と考えられています。「龍不台頭、天不雨(龍が首をもたげて天に昇っていかないと雨が降らない」)と言われ、無事に天に昇って雨を降らせてもらうためにも重要な祭日とされてきました。実際には「冬の乾季が終わり、春になって雨季がやってくる」ということなんですけどね。

毎年2月、春風が吹く頃になると黄昏時に東の地平線から姿を現す龍角星を、龍が天に昇ろうとして頭をもたげた様子に見立てて「龍台頭」の名が付いたという節もあります。

龍台頭にやるべきこと

 龍を祝うことで豊作を祈る龍台頭、中国各地では龍を祀る行事が行われます。廟会と呼ばれる日本でいう縁日のようなものが開かれたり、長崎くんちで見られるような龍踊りが披露されたりと、地方によっては観光イベントとして定着しているところも。南方では土地の家庭の神様を祝う地域も多いようです。

家庭の中でも、さまざまな習慣が残っていますが、現在では天災を逃れ豊作を祈るというよりは日本の節分のように厄除けや福招きなど開運行事としての色彩が濃いようですね。代表的なものをご紹介いたしましょう。

理髪する

 一般に中国では伝統的に「正月不剃頭,剃頭死舅」(正月に理髪してはいけない。すればおじが死ぬ)と言われ、旧暦正月の間は髪を切るのはよくないとされています。これは清朝末期に朝廷が剃髪令を出した頃から言われるようになったとのこと。長くたくわえてきた弁髪を切るようにとの命が下ったものの、明朝を懐かしみ清朝政府に反発を抱く者たちの間で正月に髪を切らないことで、過去をしのび、暗に政府に反発する風潮が始まったとか。本来の意味は「死舅」ではなく、同じ音の「思旧(昔を思う)」だったそうです。正月に刃物を当てるのはよくないとか、春になって暖かくなると髪を切りたくなるとか、そんなこともこの習慣には影響しているのかもしれません。

また、日本語でも「頭から」というと「最初から」の意味ですが、中国語でも「最初、始め、一番」の意味を表します。春とは言ってもまだ寒い春節をのんびり過ごした後、いよいよ本格的に働き始める春の最初にすべきことという意味でもあるようです。

男の子などはこの日に丸刈りにする家庭もあるようですが、縁起を担いで、自分でほんの少し髪を切るだけでもいいのだそうですよ。この日に髪を切ると1年健康でいられるとか。中国では床屋さんや美容院が大繁盛する日、あなたもこの日に、春のイメチェンをしてはいかがでしょう。

龍台頭には龍の名がつく食べ物を食べる

龍の頭

龍は単に豊穣のシンボルであるだけでなく、自らを龍の末裔と称する中華民族にとっては特別な存在。龍の名の付く食べ物を食べるのは、その気にあやかるという意味もあるようです。もちろん本物の龍がいるわけではないので、龍頭といっても実際には豚の頭です。

龍耳

これは実際には餃子です。中国、特に北方ではギョーザといえば水餃子。形も日本のような三日月型ではなく、古代のお金をかたどったといわれるゴロンとしたボリュームのある形です。しかし、龍台頭に食べるギョーザ「龍耳」は日本のギョーザに近い形で龍の耳を現したギョーザを食べます。

龍鱗

龍の鱗と言っても実際には春餅というクレープのような物。立春に食べる物でもあり、春の風物詩でもあります。小麦粉を練ったものを薄く延ばして蒸して、これに様々な具を包んで食べる手巻き寿司的な楽しさは、春の行事食としてふさわしいですね。薄くてまるい形を龍の鱗に見立てたわけです。龍の名前を付けた食べ物を食べるのは龍の気にあやかるという意味もあるようです。

龍のひげ

龍須麺と呼ばれる細い面を食べる習慣も。「須」はひげのこと。龍須麺は日本のそうめんのような細い面で、「龍のひげ」という縁起のいい名前が付いたこの麺はギョーザと同じく龍台頭に限らず、日常的にもよく食べられていますが、その名前ゆえに、この日に好んで食べられています。

龍の子

「龍子」と名付けられたものは実はお米。水がなければコメは育ちません。水をつかさどる龍は田の作物の育ての親というような発想でしょうか。このほかにもワンタンを「龍牙」や「龍眼」と呼んだりもします。一種の縁起担ぎですね。

煎り豆やポップコーンを食べる

これは上記の食品とはちょっと違って故事に基づいて食べるもののようで、言い伝えが残っています。

則天武后の時代に元号が唐から周に改められたのに激怒した天界の玉帝は3年間雨を降らせないように命じましたが、干ばつに苦しむ人間を見た玉龍は命に背き雨を降らせてしまいます。玉敵は怒って玉龍を山に閉じ込め、金豆の花が咲くまでは天界に戻さないと宣言します。人間は玉龍の恩に報いようと金色のトウモロコシを炒ってはじけさせて許しを請い、解放された玉龍は天に戻っていったという故事からくるそうです。

豆の花を咲かせて潤沢な降水と方策を願うという意味ですね。

虫退治をする

旧暦2月2日を迎えれば、二十四節気の啓蟄まで、あと数日。啓蟄は冬の間、土の中で眠っていた蟲たちが目覚めて地上に出てくる日とされていますが、これには一般的な昆虫だけでなく、甲殻類や鱗のある魚類・爬虫類も含まれます。鱗を持つ龍はそれらの長であり、蟲たちが活動する啓蟄より少し前に龍が天に昇ることで、作物や人に害を及ぼす虫たちを制圧してほしいという期待も、この日の行事には込められています。

そして地上の人間自身もこの日に虫退治をします。伝統的には草木を燃やした灰を門口にまいたり、部屋の中で香を焚いて虫を燻し出したりしたそうですが、これは現代の都会ではすでに行われていないでしょう。

自然の中に出かける

中国語では「踏青」と言いますが、龍台頭には遠足やハイキングなど自然の中へ遊びに出かける日とされています。一番早い春の息吹を体で感じることは、確かに精神衛生上もいい気がしますね。

龍台頭にやってはいけないこと

 龍台頭の日には、やるべきこと以外に、やってはいけないこともいくつか存在します。

針仕事をしてはいけない

この日に針を使うと龍の目を傷つけてしまうと言われ、針仕事は禁忌とされています。

蛇口に触れてはいけない

日本では蛇口と呼ぶ水道から水を出すためのコック。中国では「龍頭」と言います。地方によっては、朝、水汲みに行ってはいけないという説もあります。作り置きできる春餅を食べるのも水を使わないという理由でしょうか。

麺や粥、米飯を食べてはいけない

龍の名前が付く食べるべき物リストとは逆になりますが、麺、粥、米を食べてはいけないという説もあります。こちらは麺は龍のヒゲ、粥は龍の血、米は龍の子だから、それを食べるなどとんでもないという発想。この禁忌を犯すと洪水の被害が出ると言われています。

しかし、「やるべき」にもあるので、どっちを実践したらいいのか……。

引っ越しや増改築をしてはいけない

龍台頭の日は土を動かすことをしてはいけない日とされ、引っ越し、増改築などは禁忌とされています。これは風水にもとづく発想で、土の中で眠っている動物たちを早めに起こして苦痛を与えることで、自分にもよくない事が起こるという理屈のようです。今でも多くの工事現場ではこの日は作業をせず、引っ越しや増改築も避けられているとか。

まとめ

春餅や龍の名前の付く食べ物を食べたりする習慣は、恵方巻やバレンタインのチョコのような存在として、そのうち日本にも取り入れられそうな気がします。

確かに体感的に暖かくなるので、外に出かけたり、部屋を掃除したり、重たい服や分厚い布団は交換したりしたくなる時期ですよね。

ゴキブリは暖かくなって姿を見るようになる前に退治しておくのがコツだそうなので、確かに虫退治には持ってこいかも。さっそく、ブラックキャップとホイホイを買ってこようと思います。

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